保護猫の里親になれる人の条件とは?【覚悟が必要です】
猫ちゃんを飼う手段として里親を選びたい、という人も多くいます。里親になると不幸な猫ちゃんを減らせる社会的な意義も果たせますが、不幸な境遇にいた保護猫を受け入れる、というのは一筋縄ではいきません。里親になるからこそ、整えておきたい準備はもちろん気持ちのうえでの覚悟も必要です。ここでは、猫ちゃんを里親として迎えたい人のために、里親になれる人としてそろえておくべき条件を解説しています。里親として何が必要なのか知りたい人や、里親として猫ちゃんを迎えるまえに疑問や不安を解消しておきたい人も、ぜひ参考にしてください。
空前の猫ブーム!里親になる人も増えている。
猫ちゃんをペットとして飼うとき、購入ではなく里親として迎える方法を選ぶ人も増えています。現在の猫ちゃんをめぐる飼育状況を見てみましょう。
空前の猫ブームを背景に犬の飼育頭数を超え、里親も増加傾向
元々猫は犬と並んでペットとして人気の動物です。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2016年までは犬のほうの飼育頭数が多かったものの、2017年には猫が犬の飼育頭数を上回りました。
猫ちゃんはしぐさや姿の愛らしさに加えて吠えない、散歩が不要、室内飼いであることから集合住宅でも飼いやすい特徴を兼ね備えています。また多頭飼いにも向いていることから、ペットとしての猫ちゃん人気が高まり、空前のブームを迎えています。
さらに、猫ちゃんを飼う手段として購入ではなく里親を選ぶ人も増えました。保護猫の譲渡数は年々増え続け、殺処分頭数は減少傾向にあります。2004年度保護猫の譲渡数は約4,000頭に対して殺処分頭数は23万頭超えでしたが、2013年度には譲渡数1万6,320頭、殺処分数は9万9,671頭と10万頭を下回りました。2018年度には譲渡数2万5,634頭、殺処分数3万757頭まで減り、全体的に不幸な猫ちゃんを減らせるよい傾向となっています。
出典:一般社団法人ペットフード協会 令和元年(2019年)全国犬猫飼育実態調査
引き取られる猫の19%は「飼い主」から
殺処分数が減っている一方で、引き取られる猫ちゃんのうち全体の19%が飼い主からとなっています。いまだに、飼い主が何らかの理由で猫ちゃんを飼えなくなり、飼育を放棄している現状もあるのを忘れてはいけません。
里親になる人を支援するサービスも増加
以下の支援の動きやサービスが増加し、里親として保護猫を引き取りやすい背景ができたのも引き取り数の増加につながっています。
・ペットショップが里親募集コーナーを併設
・里親募集サイト
・ボランティア団体などによる譲渡会の開催
・行政による補助金制度
とはいえ、これらの支援やサービスを利用して里親になるには、一定の条件をクリアする必要があります。次に、里親になるための具体的な条件を見てみましょう。
あなたは大丈夫?里親になれる人の条件とは
これから里親として猫ちゃんを迎えるまえに、満たしておくべき8つの条件を解説します。
猫を飼える居住環境に住んでいる
ペット不可のマンションなどは当然厳禁です。集合住宅に住んでいて里親希望の場合は、譲渡のさいに大家さんや管理会社から発行される、ペット飼育許可証の提示を求められることがあるのを覚えておきましょう。
さらに猫ちゃんを迎えるにあたって、遊び場やトイレなども用意します。室内で汚されたり壊されたりしたくないものや、猫ちゃんにとって危険なものは撤去するなど、猫ちゃんが安心して過ごせる居住環境を整えましょう。
完全室内飼育ができる
感染症や交通事故、予期せぬ妊娠など多くのリスクが外にはあります。脱走を防止するための柵をつけるなど、猫ちゃんを完全室内飼育できる環境を整えるのも条件のひとつです。
飼育に掛かる費用を捻出できる
猫ちゃんの毎日の食事やおもちゃ、トイレ用品など過ごすうえで必要な費用がかかります。猫ちゃん一頭あたりで毎月最低限必要になる費用は4,000~5,000円です。
さらに、里親に引き渡される保護猫は、ワクチンや不妊治療手術、検査などがすでに済んでいます。これらの処置費用など含めて、譲渡費用として2~5万円ほどを支払わなければいけません。保護猫を迎え入れるにあたって、最低限かかる費用を捻出できる経済力も里親に求められます。
家族の同意を得られている
猫ちゃんを里親として迎えるのは、自分ひとりだけでなく家族全員です。家族に猫嫌いがいるなど、ひとりでも同意が得られていなければ一緒に暮らすのは難しくなります。小さい子どもがいる場合は必ず監視のもとで一緒に過ごすようにする、高齢者がいる場合は猫の飼育に対して理解を求める、などの取り組みも必要です。
「伴侶」として暮らせる
猫ちゃんは家族の一員として迎えられます。愛情を持って今後の人生を共に歩む、猫ちゃんにとっての伴侶となることも、里親として大切な条件です。
転売、再譲渡、実験などの目的ではない
里親への保護猫の譲渡は、殺処分される不幸な猫を減らすためです。また、保護猫は今まで虐待や飼育放棄などの辛い環境で過ごしてきたことがほとんど。転売や再譲渡などの利益目的、動物実験用などの用途で里親になるのは、絶対にあってはいけません。
必要な獣医療を理解し、受けられる
感染症予防のためのワクチン代やこれ以上不幸な猫ちゃんを増やさないための不妊治療代は、最低限必要な医療費です。さらに、万が一病気やケガのさいには当然医療費がかかります。これらの医療費についても理解があり、必要な処置や手術を受けられるのも里親の条件です。
一緒に居られる
保護猫は今までの経験から強い不安を持っています。ひとりきりにする時間はできるだけ少なく、一緒に居られる家族が常時ひとりでもいるのが里親には望ましいです。
共働き世帯や一人暮らしなどで、家を空けてしまう時間が長い人は里親になれない可能性があります。里親への譲渡の条件として、一人暮らしではないこと、留守番の場合は4時間以下、という制約が設けられているところも多いからです。
また、旅行や出張などで長期間留守になる可能性がある場合には、ペットホテルやシッターが手配できる、預かってくれる人を確保しているなども条件になります。
最後まで責任が持てる
引き取られた猫ちゃんは、飼い主からの育児放棄も多いです。もう一度飼い主から捨てられる、という辛い経験を二度とさせてはいけません。
なにがあろうと最後の日まで責任持って飼える
里親として迎えるには、たとえ何があっても猫ちゃんが寿命を迎える日まで責任を持って飼える覚悟が必要になります。引っ越しや転勤になった、赤ちゃんが生まれて猫アレルギーが発覚した、などの理由で万が一飼えなくなった場合には、親族などで自分と同じく責任を持って飼える後見人に託せる環境を整えておくのも必要です。
高齢者は注意(自分が先立ってしまわないように)
猫ちゃんは一般的に15年近く、長ければ20年生きます。万が一自分が高齢者の場合は、自分が先立ってしまう可能性もあるのです。これらの理由から60歳以上の人が里親を希望する場合、自分が飼えなくなった場合に猫を引き取って終生飼育できる後見人の同伴と、誓約書の用意が求められることがあります。
後見人がいないなど、最後まで責任を持って飼育できないと判断された場合は、譲渡を断られる可能性が高いです。
まとめ
里親として必要な条件を紹介しました。もしもひとつでも条件に当てはまらない場合は、せっかく受け入れた猫ちゃんの飼育がうまくいかず、また不幸な猫を増やしてしまうことにもなるでしょう。現状だけでなく、未来も考えたうえで条件を満たせない場合は、猫ちゃんを飼わない判断をするのも大切です。里親になれるすべての条件を満たし、覚悟と責任を持って飼えるのなら、不幸な猫ちゃんを減らすことにもつながります。
というわけで、今回は「猫の里親になれる人の条件」の話をしてみました。
参考になれば幸いです。
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では、また。
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